グランプリトクシュウ休刊によせて

「グランプリトクシュウ」誌が休刊登録されたことは、私にとっては結構大きなことだった。

思えば1992年からF1を観戦し始めて、当時はインターネットで情報を得ることなんてできなかったから、速報誌と情報誌は小遣いの使い道の最優先事項だった。その中でも速報誌一冊380円程度に比べると、表紙の紙が分厚くて文字が多く、時間をかけてじっくり取材されたような内容の記事を掲載するF1グランプリ特集(当時の誌名)は、倍の値段を出しても惜しくない雑誌だった。資金繰りに苦労して、速報誌をがまんして「硬派な」F1グランプリ特集を買った時なんて本当に特別な達成感があったと記憶している。

本当にお世話になった雑誌なので、その思い出や休刊の理由を考えるうちに最近の発行部数の推移を追っていたのでグラフにしてみた。

f:id:bettyasafujisou:20151210170211j:plain

一般社団法人日本雑誌協会ホームページのデータ(印刷証明付き発行部数)をグラフ化

部数は4半期ごとの合計が公開されている。

8年で発行部数は約3分の1に。その間は書店で見かけるたびに「薄くなったな」と感じていた。それでも激減したのはリーマンショック後のみで、そのあとのトヨタ撤退や可夢偉浪人にはほとんど動じていなかったように見える。それは、本誌ならではのファンの定期購読に支えられていたんだろうか。

おそらく2014年シーズンに落ち込んでいるところに理由があるのかもしれない。

 

しばらく思いつくことがあるかグラフをながめていたが、そういえば私が最後に買ったグランプリトクシュウは2008年の日本グランプリが最後だった。2014年はもう日本グランプリの現地観戦はそろそろやめてもいいかもと思った。つまり、うまく言えないけれどそういうことなんだと納得したような気分になった。

それにしてもF1情報誌が充実していた90年代に、まさか(F1専門の情報誌が)1誌になってしまうなんて想像もつかなかった。今後のその残った1誌には、シェア独占にあぐらをかくことなくマニアを楽しませる内容もお願いしたいと思う。

また、グランプリトクシュウ誌は12月21日の発売の号をもって休刊ということなので、不定期または隔月などで復刊する日が来るのを願っている。

買ってなかったくせに。